嗜好性薬物の世界

こんな人は高リスク(覚醒剤編)

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インターネット上の情報の多くは、基礎疾患や潜在的リスクを抱えていない、医学的問題のない多数派を前提にして書かれています。掲示板の体験談も、少数派の報告は目に止まりにくいですし、薬物使用による弊害が生じたために使用をやめた人は、商品に対する興味を失って、そういったユーザー同士の情報交換の場に来なくなることも多いでしょう。このため、どういったタイプの人がドラッグに手を出したら危険なのかについては、あまり知る機会がないのが現状です。そこで私は、薬物の使用をすることにより、精神的、身体的に、大きな問題が発生する可能性が高いタイプの人について、ここで代表的な例を載せてみることにしました。

このページでは、覚醒剤の使用をすると医学的問題が発生するリスクが高い属性について述べています。なお、ここで言う覚醒剤は、覚せい剤取締法で指定されているアンフェタミンとメタンフェタミンに限らず、カチノン類や、コカイン、メチルフェニデートなど、強い覚醒作用を持った化学物質全般を指します。これらの物質は、よく「アッパー系」と称されますが、タイトルをあえて「覚醒剤」としているのは、大麻にも「アッパー系」という分類があるからです。なお、カフェインも覚醒作用はありますが、弊害が少ないため、このページで注意を喚起する対象ではありません。また、モダフィニルはドーパミン系への作用が少ないため、おそらく問題は大きくありません。

統合失調症の人

覚醒剤は、統合失調症を顕著に悪化させます。その悪化も一時的なものではなくて、一生残る、恒久的なものです。コーヒーですら、「統合失調症の患者が飲むと、一時的に症状が重くなる」と言われますが、メタンフェタミンや、脱法ドラッグに含まれる覚醒剤は、作用の強さの面ではその比ではないため、絶対に避けるべきです。

通院治療を受けている統合失調症の方は、(定型)抗精神病薬という薬を処方されていることが多いかと思いますが、この薬は、脳内のドーパミンという物質の実質的な能力を低下させるための薬なのです。ドーパミンの働きを抑えることで、統合失調症の症状(主に陽性症状)を抑えることができ、また悪化を防ぐのです。しかし、覚醒剤は逆に脳内のドーパミンの濃度を大幅に上げる薬なのです。このことを考えれば、覚醒剤の使用がいかに破滅的な行為であるかが分かるかと思います。

血縁者に統合失調症者がいる人

統合失調症にかかりやすいかどうかは、ある程度遺伝によって決まります。たとえば、一般人の発症率は約1%と言われていますが、一卵性の、多胎児(双子、三つ子など)に統合失調症者がいる場合は、他の一人も約50%の確率で統合失調症を発症します。二卵性の多胎児の誰か、兄弟姉妹、両親の片方が統合失調症者である場合についてはこれほど高くありませんが、それでも一般人平均よりもはるかに高いことには変わりません。こういった人々を、「高リスク群」といいます。

覚醒剤を摂取したために、統合失調症の陽性症状と同じ症状が発生したり、統合失調症が誘発されたりすることを「覚醒剤精神病」といいます。覚醒剤によって脳内のドーパミンの濃度が著しく上昇し、その結果、神経細胞が損傷(または変性)してしまうことが、覚醒剤精神病の原因です。統合失調症の高リスク群の人は、おそらく、平均的な人よりも脳内の神経が傷つきやすく、通常では覚醒剤精神病を引き起こさないレベルのドーパミン濃度であっても、神経の損傷が発生してしまうのだと思われます。

「肌が荒れやすい人」とか、「胃腸が弱い人」がいるのと同じように、脳細胞についても、薬物によって損傷しやすい人がいるのです。問題は、肌などと違って、簡単に試してみるわけにはいかない点です。化粧品や洗剤で肌がかぶれたとしても、使用をやめれば肌荒れは回復するでしょう。しかし、一度損傷した脳細胞は、まず完全に回復することはありません。長い年月の経過により、徐々に好転する場合はありますが、人生の貴重な期間を空費してしまうデメリットは大きいと思います。簡単に試せず、また発症した場合の人生へのダメージも大きいことから、高リスク群の方は、なるべく摂取を控えた方が安全だと思います。

心臓病の人

この種の覚醒剤の多くは「交感神経作動性アミン」と呼ばれ、心拍数を上昇させる作用があります。平常時は1分間60くらいであった心拍数が、120とか、かなり高くなります。不整脈などがある人は、心臓発作の危険があります。

なお、この値を超えないようにすべきだとされる心拍数は年齢によって変わり、「220-年齢」という簡易計算が広く使われています。例えば20歳の人なら心拍数200/分が、45歳の人なら心拍数175/分が許容最大値であり、この値を超える状態が続くと非常に危険です。なお、この計算式はあくまで健常者のみに適用できるものであり、当然ながら心臓疾患のある方には適用できません。

なお、交感神経作動性アミンが脈拍数に及ぼす影響は複雑であり、頻脈とは逆の徐脈を引き起こす場合もあります。たとえばノルアドレナリンの場合、投与直後は心拍数が上昇しますが、その後、さまざまないきさつを経て、最終的には元の状態よりも脈拍数が低くなるようです。しかし、一般的にはこの種の交感神経作動性アミンは脈拍数を急増させる物であると理解しておいた方がいいでしょう。

脳出血リスクの高い人

交感神経作動性アミンは、血管を収縮させるために、血圧が高くなります。その結果、脳出血の危険性が増大します。特に静脈注射をした場合は、急激な血圧上昇を伴うため、炙りや内服と比べて脳出血の危険性がはるかに高いです。また、薬物内に血管炎を起こすような不純物が混ざっていると、さらに脳出血が起きやすくなります。

この種の物質による脳出血リスクは女性の方がかなり高いようです。例えばフェニルプロパノールアミンの場合、女性の脳出血リスクは男性の17倍です。

緑内障の人

交感神経作動性アミンは眼圧を高める作用もあるため、緑内障を悪化させます。開放隅角緑内障の場合、長年、覚醒剤を使用すると、老後の視野狭窄の原因になります。閉塞隅角緑内障の場合はもっと危険で、物質摂取直後に強い目の痛みを覚えた場合、すぐに眼科を受診しないと、失明する可能性が高いです。

なお、閉塞隅角緑内障は、暗い場所の方が発症しやすいとされます。また男性より女性の方が、若年者よりも高齢者の方が発症しやすいです。

相互作用のある医薬品を服用している人

服用している医薬品によっては、覚醒剤やエンタクトゲンの薬効を危険なレベルにまで押し上げてしまう場合があります。

MAO阻害剤と呼ばれる、セレギリン(デプレニル)を服用している人や、リトナビル、ネルフィナビル、インジナビルなどのエイズ治療薬を服用している人の場合、メタンフェタミンやMDMAの代謝が遅れ、薬効が大幅に増加してしまいます。特にリトナビル(商品名ノービア、カレトラ)は影響が大きく、血中濃度が3倍から10倍になる場合もあります。

肝臓が特異体質の人

肝臓の代謝酵素が弱い体質の人の場合、薬物の血中濃度が通常の5倍から10倍程度になってしまう場合があります。ただし、日本人にはこういった体質の人は少ないようです。とはいえ、自分がその体質に当てはまるかどうかは通常分かりませんので、初めて摂取する物質は、ベテランユーザーと同じ量ではなく、少量から摂取して様子を見るのが安全です。

また、薬物によっては、逆に肝臓で分解されることによって薬効が強まるものもあります。こういった薬物の場合、代謝酵素が一般人よりも強力な体質の人(超迅速代謝者:ウルトララピッドメタボライザーと言います)では、薬効が強く現れすぎる場合もあります。

薬物以外の重度の依存症の人

ギャンブル依存症など、多くの依存症は、脳内の性質が先天的に、依存症になりやすい作りになっていることが、その有力な原因であるとされています。つまり、すでに薬物以外の依存症にかかっている人の場合、ドラッグに手を出すと、平均的な人よりも薬物の依存症になりやすいと考えられるのです。欧米の場合、ギャンブル依存症の人の3割から5割が、アルコールや薬物の依存症でもあります(逆にアルコールや薬物の依存症の人のうちの1割から3割がギャンブル依存症です)。

また、依存症になりやすい性質は、ある程度遺伝するとも言われています。これは薬物依存症同士、ギャンブル依存症同士の場合は勿論ですが、薬物依存とギャンブル依存という異種の依存症同士についてもいえるようで、ギャンブル依存症の人の親や兄弟姉妹は、3分の1から半分が、アルコール・薬物依存症だというデータもあります。このため、親や兄弟姉妹に何らかの依存症の人がいる方は、自分も依存症になりやすい性質である可能性を心にとめて、十分に気を付けるべきでしょう。

なお、この項目のタイトルでわざわざ「薬物以外」としている点について、「最も警告すべきなのは薬物依存症の人であるにもかかわらず、なぜ省いているのか?」と思われる方もいると思いますが、そもそも薬物依存症とは、他人が止めても薬物を使用するという行動を選ぶ病気なのですから、注意を勧告しても意味がないのです。

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