嗜好性薬物の世界

フェネチルアミン統一命名法

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PEA

現在、日本の合法ドラッグ業界はすでに第10世代を迎え、今度は仕切り直しとして「ゼロ世代」という呼び方も現れ始めている。しかも、カンナビノイド系(いわゆるハーブ)のユーザーと、アッパー系(いわゆるアロマ、リキッド)のユーザーで、現在第何世代なのかの認識がまともに一致しないという、混乱した状況にある。(追記:このページは2013年に書かれた物です。2015年現在、各社商品から世代表示は軒並み消えてなくなり、世代の概念がなくなりつつある可能性があります)

酒井法子や押尾学が逮捕された2009年頃は、まだこれほどまでに当局の規制と、それをかいくぐるためのアナログ(構造をわずかに変えた類似物質)の登場という、いたちごっこは激しくなかった。これから先、ますますこのいたちごっこは加速するだろうと思われる。

そうなってくると、薬物の通称名も次々と新しいものが現れることになり、よほどの事情通でなければ、物質名を聞いただけではその物質がどんな構造なのか、その場で理解することは不可能になるだろう。基本的にこの種の物質は、先に名づけたらそれが通称名としてその後も使用されるという場合が多い。

たとえば、「メチロン」、「エチロン」、「ブチロン」、「ペンチロン」などの名称が、それらの物質の代表的な通称名となっているが、これらの名前を目にしただけで、その構造を認識することは不可能である。化学に詳しい方なら、下の図を見ただけで、統一した命名規則に基づいていないことが分かるであろう。

34MD-PEA-bka1N1 34MD-PEA-bka1N2 34MD-PEA-bka2N1 34MD-PEA-bka3N1

メチロン、エチロンでは窒素原子に結合しているアルキル基が命名の由来であるのに対し、ブチロン、ペンチロンでは一転してベンゼン環から側鎖末端までの炭素原子数が命名の由来である。もしエチロンからさらに窒素原子側のアルキル基を伸ばして、下の左図のような化合物が作られた場合を考えてみよう。これはメチロン、エチロンと来ているので、プロピロンという命名がすぐに思い浮かぶ。発音しにくいが、どうせ愛用者の間ではメチロンを「飯」と呼んだように、愛称で呼ばれるだろう。だが、さらにアルキル基が伸びて、下の右図の化合物が作成された場合、命名はどうなるだろう?

34MD-PEA-bka1N3 34MD-PEA-bka1N4

この場合、これまでの慣例にしたがえば、ブチロンという名になるはずだが、すでにあるブチロンと同名になってしまう。なお、実はメチロン自体にも、同名の風邪薬が存在するのだが、こちらは同じ分野でないので、混同の可能性は低いだろう。ただし窒素原子上のアルキル基が長くなると、ドーパミンに対する賦活性が下がるなど、薬効に大きな影響を及ぼす可能性もあるが、昨今の規制に次ぐ規制により、薬効の低い物質でも投入せざるを得ないという状況になる場合も十分にありえると思われる。

このように、一貫した命名規則がこれまでなかったため、将来的に薬物名がバッティングする懸念が大きいのである。IUPAC名やそれに準ずる慣用名のような、重複しようがない呼び方を用いれば、名称の混乱による誤りは防ぐことができるであろう。しかし、IUPAC名はいかにも長すぎる。たとえばMDMAのIUPAC名は「(RS)-1-(benzo[d][1,3]dioxol-5-yl)-N-methylpropan-2-amine」で、MBDBのIUPAC名は「(RS)-1-(1,3-Benzodioxol-5-yl)-N-methylbutan-2-amine」である。

また、慣用正式名称は体系的に整理されていない。たとえばMDMAの慣用正式名称は「3,4-methylenedioxy-N-methylamphetamine」で、MBDBの慣用正式名称は「1,3-Benzodioxolyl-N-methylbutanamine」である。MDMAのときは「アンフェタミン骨格に何かがついている」という観点からの命名であったのに対し、MBDBでは「ブタンアミン骨格に何かがついている」という観点からの命名になっており、同じメチレンジオキシ基を持つ物質という共通点が分かりにくくなっている。下の図を見ると分かるが、側鎖が一つ伸びただけで、こうも正式名称が変わってしまうのである。

34MD-PEA-a1N1 34MD-PEA-a2N1

昔は、アンフェタミン、メタンフェタミン、エチランフェタミン(N-エチルアンフェタミン)、MDMAやMDEAのように、フェネチルアミン骨格のα位に付く側鎖は、炭素数1のメチル基であるという化合物がほとんどであった。この場合、基本はアンフェタミン骨格なので、通称名の命名に当たっては特に悩むことはなかった。

PEA-a1 PEA-a1N1 PEA-a1N2 34MD-PEA-a1N2

しかし近年は、MBDBやペンテドロンの様に、側鎖の長さを変えた化合物や、さらにα-PVPやα-PBPの様に、窒素原子に付く原子団が、直鎖アルキル基ではなく環状炭化水素鎖になった化合物が次々と登場して来ている。こうなってくると、バリエーションが多すぎて物質名を丸暗記しない限り、体系的な把握は無理だろう。

PEA-bka3N1 PEA-bka3NN4 PEA-bka2NN4

そこで私は、新たに統一的な命名法を制定することを思いついた。具体的には、フェネチルアミン骨格をPEAと略し、それに付属する炭素鎖の炭素原子数を数字で表し、ヘテロ原子または原子団(ヘテロ原子は炭素以外の原子)を略称で表すという方法である。

現在、仮の方式として考えているものは、下記のとおり。

【ベンゼン環に付く原子または原子団】-PEA-【β位に何か付く場合は、bの文字の後にその物質名を書く。ただし何も付かない場合は省略する】【α位に炭素鎖が付く場合は、aの文字の後に炭素原子数を書く】【窒素原子に炭素鎖が付く場合は、Nの文字の後に炭素原子数を書く】「【窒素原子にもう一個炭素鎖がつく場合は、Nの文字の後に炭素原子数を書く】

この方式に従えば、メタンフェタミンの場合は、フェネチルアミンのα位に炭素数1個のメチル基、窒素原子に炭素数1個のメチル基が1個のみであるから、PEA-a1N1となる。アンフェタミンの場合は窒素原子には水素原子以外何も付かないから、PEA-a1となる。MDMA(3,4MDMA)の場合は、3,4MD-PEA-a1N1となる(ハイフンを省略してもよい)。

β位に酸素原子が二重結合している場合は、これをケト基というため、kという文字で表す。また水酸基はヒドロキシ基ともいうため、hという文字で表す。そしてα-PBPの様に窒素原子上に環状の炭化水素鎖が付いている場合は、NNという文字の後にその炭化水素鎖の炭素原子数を書く。

アルキル基が炭素数3のプロピル基以上になると複数の構造を取り得るようになるが、ノルマルプロピル基は単に3と、イソプロピル基はi3と表記し、セカンダリーブチル基はs4、イソブチル基はi4、ターシャリーブチル基はt4と表記する(ノルマルプロピル基をn3としない理由は、口頭で言ったときに窒素原子を意味するNと紛らわしいからである)。

当サイトでは、フェネチルアミン骨格をもつ物質については、この命名法による名称を併記することにする。しかし、メタンフェタミンのように、通称が広く知れ渡っている場合や、3,4MDMAのように、一般的な名称の方が明らかに短い場合は、必ずしも本法による名称を使用しない場合がある。

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