嗜好性薬物の世界

合法・脱法ドラッグの展望

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タイトルを「合法ドラッグの展望」から「合法・脱法ドラッグの展望」に変更しました。

カンナビノイドとカチノン類で包括規制が実施された今、旧来の構造を持っていた脱法ドラッグはほぼ一網打尽となり、全滅に近い状況となっている。では、これからどういった物質が出現するのだろうか? また、どんな物質なら強い精神活性を持ちそうだろうか? このページではそういった、これからの展望を書いてみる。

(注)このページで取り上げた物質が規制の対象になった場合、「規制済み」という表示を書き加えますが、資料的な価値があることから紹介文章は未規制時に書いた物を残しております。

α-PHP(規制済み

PEA-bka4NN4 薬事法のカチノン包括規制では、α-PBPなどが一括で指定薬物に指定されて規制されており、またα-PVPは麻薬指定、α-PHPP(PEA-bka5NN4)は薬事法で個別に指定薬物に指定されている。しかし、実はα-PVPとα-PHPPの中間の構造を持つ、α-PHPという物質は未規制であることが分かっている。

この物質もカチノン類である以上、作用時間の短さと、連続投与した場合の代謝物質の蓄積により、肉体的な疲労が過大になりやすいという問題からは逃れられないものと考えられる。しかし薬理的作用が評判の良かったα-PVPに類似しているだろうことを考えれば(あるいは、さらに強力である可能性もある)、今後一定のブームになる可能性は残されている(政府が迅速に指定薬物にすれば別である。少し前、条例公布の翌日に施行された知事指定薬物があったが、このような掟破りの手段を用いれば、迅速規制は可能であろう)。

すでに現在、日本国内の業者のアロマ・バスソルトに使用されているようだ。また2ちゃんねるの大学生活板のスレッドでは、個人輸入をしたという話がいくつか出ている。

PEA-bka2NN4 PEA-bka3NN4

その後

2014年8月に薬事法指定薬物に指定された。この時の指定は、規制対象物質を発表した10日後に規制が実施されるという迅速なものであり、上記の「掟破りの手段」に幾分近いものであった。

モノフルオロアンフェタミン(規制済み

3F-PEA-a1 4-フルオロアンフェタミンは薬事法指定薬物だが、2-フルオロアンフェタミンと3-フルオロアンフェタミンは未規制である。ベンゼン環にフッ素が結びつくと、脂溶性の向上により脳関門通過性が上がり、覚醒作用は上昇する。たとえば4-フルオロアンフェタミンは、アンフェタミンよりはるかにドーパミン刺激作用が強い。これらの物質は外国では以前から知られており、特に大きな問題もないようなので、今後、カチノン類に変わるアッパーケミカルとして有望である。

なお、4位に付加する原子が塩素や臭素である場合、セロトニン受容体への作用が大きく変わってしまい、強いセロトニン神経毒性が生じてしまうが、フッ素原子の場合はこういった神経毒性は生じにくいとされる。

過去に、2-フルオロメタンフェタミンが、メタンフェタミンの代替品として南大東島経由で日本に密輸入されそうになるという事件があった。このニュースではこの物質の通称を「N-メチル-2-FMP」としているが、この略称はほとんど使われておらず、「2-FMA」という略称の方が一般的に通用すると思われる。なお、2-フルオロメタンフェタミンは当時すでに薬事法の指定薬物であったが、なぜ未規制の2-フルオロアンフェタミンではなく、こちらを輸入しようとしたのかは不明である。力価や、作用の方向性に差があるのだろうか?(その後追記:アンフェタミン塩酸塩は吸湿性があるため空気中の水分を吸って液状化してしまうが、メタンフェタミン塩酸塩にはそういった性質はなく、結晶または粉末の状態で手軽に流通させやすい。アンフェタミンは硫酸塩にすると吸湿性がなくなるが、その代わり加熱吸煙をすると焦げ付いてしまうので「炙り」に適さなくなる。こういった理由で、乱用薬物市場ではアンフェタミンよりもメタンフェタミンが好まれている。もし、2-フルオロアンフェタミンの塩酸塩が、アンフェタミン塩酸塩と同様に吸湿性であるならば(筆者は未確認)、それが嫌気された可能性がある)

PEA-a1 2F-PEA-a1N1

その後

2015年1月に、2-フルオロアンフェタミンが薬機法(旧薬事法)指定薬物に指定され、2015年2月に、3-フルオロアンフェタミンが薬機法指定薬物に指定された。これによって、アンフェタミンとメタンフェタミンの、ベンゼン環にフッ素原子が1個のみ置換したアナログはすべて規制済みとなった。

ジフルオロアンフェタミン

35F-PEA-a1 上記の2-フルオロアンフェタミンと3-フルオロアンフェタミンは、現在規制の抜け穴となっているので、早晩規制される可能性が高いだろう。そして、メタンフェタミンのベンゼン環の2位、3位、4位のどれか一ヵ所のみにフッ素が結びついたアナログは、すでに薬事法指定薬物になっている(5位、6位はどうなのかというと、それらは3位、2位と同じ物である)。つまり、アンフェタミンもメタンフェタミンも、ベンゼン環の一箇所だけにフッ素が置換したモノフルオロアナログは、やがて全て規制済みとなってしまうだろうと思われる。しかし、複数個所にフッ素が結びついたジフルオロアナログは、まだいずれも規制前である。

前記のモノフルオロアンフェタミンの場合は、すでに海外での使用実績があり、不測の問題が起きることはないだろう。しかし、たとえば2,6-ジフルオロアンフェタミンや、3,5-ジフルオロアンフェタミンなどのジフルオロ体の場合、その薬理学的なポテンシャルについては、少なくとも筆者にとっては未知である。しかし、これらの物質が特に幻覚剤的な薬理作用や、セロトニン神経毒性などの予想外の作用を現さないのであれば、その脂溶性の高さに由来する脳関門通過性の高さから、場合によっては最強の覚醒剤と名高いメタンフェタミン以上の覚醒剤となりうるだろう。

PEA-a1

ジフルオロカチノン

35F-PEA-bka1 カチノン包括規制が施行された現在でも、ベンゼン環に二つ以上のハロゲン原子を持つカチノン類は、包括規制の対象外であるということを、上記「ジフルオロアンフェタミン」の項目の執筆後に認識した。たとえば2,6-ジフルオロカチノンや3,5-ジフルオロカチノンなどである。

筆者の予測では、おそらくこれまでのカチノン類同様、上記のジフルオロアンフェタミンと比較すると、ケト基があるために代謝が早く、持続時間が短いだろうと思われる上、ケト基により脳関門通過性は多少低下するはずである(ただし、フッ素原子の修飾により、脳関門通過性は多少なりとも上がっているはずだから、この効果とある程度相殺するであろう)。しかし、カチノン類はβ位に水素原子しか結合していないアンフェタミン類よりは合成コストが安いといわれている。日本の脱法ドラッグ業界においては、β位に水素しか結合していない単純なアンフェタミン類はほとんど供給されることがなかった(メチオプロパミンを除く)ことから、カチノン類はコスト的に歓迎されているのだろうと思われる。今後有望な物質だと思われる。(その後追記この研究によれば、カチノン類の2位にフッ素が修飾した場合、むしろ脂溶性が下がるようです。このため、2,3-ジフルオロカチノンや2,4-ジフルオロカチノンなどは、さほど脂溶性が高まらない可能性があります。2,6-ジフルオロカチノンの場合、どういった結果になるかは予想が付きません。なお、この現象はカチノン類のケト基の酸素原子に起因するものであるため、β位にケト基や水酸基のないアンフェタミン類の場合は当てはまりません)

PEA-bka1

2,3-MDMA

23MD-PEA-a1N1 現在知られている麻薬指定のMDMAは、正確には3,4-MDMAと呼ぶべき物質であり、ベンゼン環の3位と4位をメチレンジオキシ基で橋掛けしたものである。押尾学の使用したMDMAなど、過去に単に「MDMA」と表記されて報道されている物質は、ほとんど全てが3,4-MDMAである。しかし、2位と3位にメチレンジオキシ基を結合させた2,3-MDMAであれば、規制対象外となる。実際に外国でこの物質を合成し試験した例もあるようだ。

ただし、問題点は天然物を製造原料にできないことである。3,4-MDMAなら、サフロールやヘリオトロピン(別名ピペロナール)など、複数の天然物から合成できたが、2,3-MDMAはおそらく使用できる天然原材料がないため、合成コストが高くつくと思われる。

3,4-MDMAと2,3-MDMAのノルアドレナリン、セロトニン神経に対する強さの相互比較は、掲示板の投稿に情報があるが、その出典が見つからないため、あくまで参考情報とされたい。なお、この数値は、数字が大きい方が弱いと解釈するようだ。(その後追記:この情報は、放出能力ではなく再取り込み阻害能力のみを記載しているもののようです。放出能力の方も見なければ正確な比較はできません)

34MD-PEA-a1N1

N-プロピルアンフェタミン

PEA-a1N3 アンフェタミン、メタンフェタミンは覚醒剤指定であり、N-エチルアンフェタミン(エチランフェタミン、NEA)は向精神薬指定である(NEAは日本では未市販なので幻の向精神薬である)。しかしN-プロピルアンフェタミンは未規制である。

この物質は窒素原子に結合するアルキル基が長いため、ドーパミン賦活作用はそれほど強くない。この物質はすでに海外で合成・試験が行われており、効力はアンフェタミンの4分の1といわれている。しかし、体内でN-プロピル基が脱アルキル化されてアンフェタミンに変換されるため、摂取直後よりも、時間がたってからの方が作用が強くなると思われる。なお、体内で違法薬物に変換されるからといって、その物質を摂取するのは違法とはされない。たとえばコデインは市販薬だが、体内で違法薬物のモルヒネに変換される。

PEA-a1 PEA-a1N1 PEA-a1N2

プロリンタン(規制済み

PEA-a3NN4 プロリンタン(英語記事)とは、α-PVPからケト基を取り除いた構造を持つ覚醒剤である。すでに海外ではスマートドラッグとして販売されているようだ。ただし、米国などではアンフェタミンがある程度合法的に手に入るから(名門大学の受験生に対して、親が飲ませている例もある)、この物質はいまいち知名度が高くない。しかし日本のような覚醒剤の規制が厳しい国においては、かなり人気を博す可能性がある。ケト基がないため、α-PVPのようなカチノン類と比べると、持効性が高く、メタンフェタミン同様、一度飲めば一日中、効果が持続するのではないかと思われる。

その後追記:ピロバレロン類似のドーパミン再取り込み阻害剤は、β位にケト基がある方が活性が高いため、プロリンタンはα-PVPと比べると活性が弱い可能性が高いです。しかし、ケト基がないことで脂溶性が若干上がるため、脳関門通過性が多少向上して、活性の低下をある程度補える可能性もあります)

PEA-bka3NN4

その後

2015年2月に薬機法指定薬物に指定された。

ブプロピオン

3Cl-PEA-bka1Nt4

ブプロピオンはカチノン類でありながら、日本の脱法市場に出回るカチノン類とは一線を画した性質を持つ、多くの臨床データに裏付けられた医薬品である。分類としては覚醒剤、抗うつ剤であるが、禁煙薬として使われる場合も多い。海外では広く用いられているものの、日本では未認可である。しかし、自分の病院で独自に使用している精神科医もいるほど、定評のある薬である。日本国内の試薬会社でも販売されているが、錠剤を個人輸入した方が安上がりである。

作用機序は、ドーパミンとノルアドレナリンの再取り込み阻害であり、セロトニンに対する作用はほとんどない。

これまで脱法市場に出回ったカチノン類といえば、「半減期が短く、すぐに効き目が切れる」、「脳に対する効き目は切れても、交感神経作動作用のある代謝産物が残るから、肉体への負荷はしばらく続く」といった不評があるものが多かった。β位のケト基が代謝されて水酸化体になりやすいためであろう。しかし、ブプロピオンは半減期が14時間~21時間と、同じカチノン類でありながら非常に長く、メタンフェタミンと同格かそれ以上である。また、代謝産物にも(+)-6-ヒドロキシブプロピオン(別名ラダファキシン)などの、活性のある物質が存在し、薬効が長く続く。しかも錠剤には徐放性タイプもあり、1日に1回飲めば、それで十分にスマートドラッグとしての役割を果たせると思われる。

ただし、ブプロピオンはさほど強力な作用は持っておらず、脳科学辞典によれば、メタンフェタミンは脳内の細胞外ドーパミン濃度を10倍~20倍に上げるのに対し、ブプロピオンは2倍~3倍の増加にとどまる。力価も低いため、1日に450mg程度を摂取しても良いようだ。ドーパミンを活性化する薬物は覚醒剤精神病を引き起こしやすいが、ブプロピオンの場合はまれなようだ。前記の精神科医のブログによれば、主に脳の前の方に作用するからではないかと推測されている。

錠剤は、放出速度によって3種類に分かれている。それぞれの特徴については下記のブログが詳しい。

管理人もブプロピオン錠剤を個人輸入して時々飲んでいるが、「カチノン類」というカテゴリから想像されるイメージとは裏腹に、薬効はあまり大したことがないと感じる。コーヒーと比較しても優れているかどうか判断できない程度であるが、その分、乱用性は低いと言える。

亜硝酸セカンダリーブチル

亜硝酸セカンダリーブチル

現在、亜硝酸アルキルのうちいくつかが薬機法(旧薬事法)指定薬物になっている。そして炭素数4の物は、亜硝酸ブチル、亜硝酸イソブチル、亜硝酸ターシャリーブチル(亜硝酸第3級ブチル)が指定薬物になっているが、亜硝酸セカンダリーブチルは未指定である。これは略して亜硝酸sec-ブチルとも書かれ、亜硝酸第2級ブチルとも呼ばれる。

亜硝酸アルキルは、揮発性の高い液体であり、「ラッシュ」と呼ばれ、男性が性行為中に吸入する用途で用いられてきた。この物質も、おそらく他の亜硝酸アルキルと同様の作用があると思われる。また、他のブチル系ニトライトと異なり、2種類の立体異性体があるが、メタンフェタミンなどとは異なり、R体とS体での生理活性の差は存在しないであろうと思われる。

3-フルオロエチルアンフェタミン

3F-PEA-a1N2 この物質に関する情報は不足しているが、英語圏のサイトを調査した限りでは、ドーパミン放出能力が非常に高いようだ。一方、ノルアドレナリン放出能力はあまり高くないため、心血管系に対する負担が軽いと思われる。代謝によってエチル基が外れると、3-フルオロアンフェタミン(薬機法指定薬物)になるが、こちらも強力な覚醒剤である。脳関門通過性も高く、覚醒作用の高さと肉体への負荷の低さを併せ持つため、メタンフェタミンよりも優れた覚醒剤である可能性は十分ある。

この物質の問題点は、製造コストおよび規制物質の混入可能性にある。製造法は、3-フルオロフェニルアセトンを原料とするのが近道であるが、これは2-フルオロフェニルアセトンや4-フルオロフェニルアセトンと比べてかなり高価である。しかし、3-フルオロフェニルアセトンは比較的安価な3-フルオロベンズアルデヒドまたは3-フルオロフェニル酢酸を原料として製造できるので、その工程が低コストでできるならあまり大きな問題ではないだろう。しかし、還元反応を行なう際にエチル基が離脱して指定薬物の3-フルオロアンフェタミンが微量生成してしまう可能性があるため、純度に気を付ける必要がある。

この物質は「3-FEA」と略されるが、通称については「3-フルオロエチルアンフェタミン」のほか、「3-フルオロエタンフェタミン」や「3-フルオロエチランフェタミン」や「N-エチル-3-フルオロアンフェタミン」などがあり、今後どれが主流になるかわからない。余談であるが、この物質のアナログである、ベンゼン環の2位にフッ素が修飾している物質のことを、深く考えずに「2-フルオロエチルアンフェタミン」と呼んでしまうと、フッ素原子がエチル基の2位に付いている物(フルオロ酢酸に代謝されるため、毒性が非常に高いと思われる)を指すとも取れるため、混乱を招く可能性がある。

その後追記:ある理由から、この物質の薬効に疑問を抱き始めています。ただし、私は3-フルオロエチルアンフェタミンと称する物質を摂取した体験はありません)

PEA-a1N2

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