嗜好性薬物の世界

疑問ノート

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このページでは、日ごろ自分が疑問に思ったことを書き溜めていきます。資料に当たらずに完全に思いついたそばから書いていますので、事実関係などは不正確な場合があります。

エフェドリンはシモン試験で呈色するのか? (NEW!

警察のパトカーには大抵「シモン試薬」と呼ばれるメタンフェタミン用簡易判定キットが常備されている。他に、MDMAに対応した「マルキス試薬」というものもあるが、濃硫酸を使用するため、気を付けて取り扱わなければならないという難点がある。他にも大麻試薬(デュケノア試薬)やコカインチェッカー(スコット試薬)などがあるが、コカインチェッカーは昨今の脱法ドラッグ流行に伴ってコカインでない物をコカインと誤判定する事故が多発したため、使用を取りやめている県警も多い。

シモン試薬は第2級アミンに特異的に反応するとされ、この動画のようにメタンフェタミン(第2級アミン)に対しては強い青色を呈するが、アンフェタミン(第1級アミン)やコカイン(第3級アミン)には反応しない。しかし、シモン試薬が第2級アミンのエフェドリンに対して反応するかどうかについては、書籍やウェブサイトで調べてみると、まるっきり反対の事が書かれている。例えば小森榮弁護士による『もう一歩踏み込んだ薬物事件の弁護術』の冒頭カラーページでは、シモン試薬はエフェドリン塩酸塩に対して「反応しない」とはっきりと書かれている。 この動画でも呈色はしていない。

一方、こちら(英文)ではエフェドリンも呈色するとしており、また現在はリンク切れであるが、http://dare.uva.nl/cgi/arno/show.cgi?fid=221117にあったPDF論文でも呈色するとしていた記憶がある(残念ながらファイルを保存しておかなかった)。試験に用いたエフェドリンが不純な物だったという可能性もあるが、どういった理由で、このように結果にばらつきが生じるのだろうか?

脱法ショップの年齢制限について

脱法ドラッグのオンラインショップでは、よく年齢制限の表示がある(レキオハーブのように、年齢制限がない店もあった)。しかし、店によって「18歳以上」となっていたり、「20歳以上」となっていたり、あるいは単に「未成年は不可」として年齢を明示していない店もあったりする。この年齢制限の根拠は何なのだろうか?

脱法ハーブは、ショップ側の呼び方では合法ハーブであり、通常は未規制の物なのだから、法律上は年齢制限は存在しないはずだ。その点、酒やタバコよりも緩いといえる。しかし、判で押したように多くのショップが年齢制限をしているのは、どこかから指導があるためなのだろうか? そして、18歳と20歳という2種類の基準があるのは(中間の19歳というのは見たことがない)、何によって決まるのだろうか?

また、単に「未成年」とだけ書いている店の場合、何歳が区切りなのかがわからないという問題がある。市販の医薬品の箱には、「成人(15歳以上)」と書かれており、医薬品の世界では未成年とは15歳未満をさすようだ。これを元にすれば、脱法ドラッグも薬物である以上、未成年とは15歳未満のことだとも解釈できるが、ショップ側の意図と合っているかどうかはわからない。

セロトニン再取り込み阻害剤には神経毒性があるのか?

4-クロロアンフェタミンやMDMAなどのセロトニン作用が強い物質には、セロトニン神経毒性があるとされる。これは、セロトニン神経終末から大量のセロトニンが放出され、空いた空間に同時に充満したドーパミンが入り込み、MAO-Bによって分解される時にフリーラジカルを生じて、セロトニン神経を傷つけるためである。このため、MDAIのようにドーパミン作用がない物質の場合は、セロトニン神経毒性が生じない。

そして、4-クロロアンフェタミンやMDMAは、セロトニン放出作用が強い物質であるが、セロトニン再取り込み阻害作用が主体である物質の場合には、この神経毒性は生じるのだろうか? 理論上は、セロトニンの放出によって隙間ができたセロトニン神経にドーパミンが入り込むのが原因だから、単なる再取り込み阻害なのであれば、神経毒性は生じないのではないかとも考えられる。MDMAは人気がある物質であり、多少神経毒性があっても気にせず使うユーザーも多い。しかし、ダメージが蓄積していくと、老後などにうつ病を生じたりする原因になるだろうし、あまり脳に優しい化合物ではない。もし、セロトニン再取り込み阻害剤がセロトニン神経毒性を持たないのであれば、MDMAよりは優良なエンタクトゲンとなる可能性がある。

コカインの耐性の謎

ウェブサイトや薬理学書では、コカインは耐性が付かないと書かれている。そして同じページに、アンフェタミンはそこそこ耐性が付きやすいとも書かれている。ただし別の情報源には、コカインには耐性が生じるとも書かれている。果たして、コカインは耐性が付くのだろうか、付かないのだろうか?

また、コカインとアンフェタミンの作用機序は異なるが(アンフェタミンはドーパミン放出と取り込み阻害、コカインは取り込み阻害のみ)、コカインとMDPVの作用機序はよく似ている(どちらも、ドーパミン放出力は低く、再取り込み阻害力は高い。ただしセロトニンに対する作用は、コカインは高いが、MDPVは低い)。しかし、MDPVはかなり耐性が付きやすい。なぜ、コカインは耐性が付きにくいのに、MDPVは耐性が付きやすいという相違が生じるのだろうか?

肉食動物の覚醒剤摂取時の狩猟行動の変化

肉食動物は空腹のときに狩りをする。そして狩猟行為は、戦闘行為に近いので、アドレナリンなどのカテコールアミンが活発に放出される状況となるだろう。つまり覚醒剤摂取時に近い状態になるのだ。一方、覚醒剤を摂取すると空腹感がなくなり、食欲が低下する。

では、肉食動物に覚醒剤を摂取させた場合、狩猟行動はどのように変化するのだろうか? 空腹を感じないから、狩りをしなくなるのか、それとも、これまで以上に戦闘的になり、必要以上に捕食行動を行うようになるのか、興味深いところである。

リタリン、アデラールの光学純度が低い理由

リタリンはメチルフェニデートのd体とl体が50%ずつのラセミ体であり、アデラール(日本では不許可)はd-アンフェタミンが75%と独特の光学純度となっている。これはなぜだろう? 医療用のヒロポンはd-メタンフェタミンのみのキラル体である。上記物質はいずれもd体の中枢作用が高く、光学純度を高めれば心血管系への負荷を抑えつつ覚醒作用が期待できるはずだ。

私は光学純度は高い方がよいと思っていたが、必ずしもそうでもないようだ。将来、脱法ドラッグ業界においては「キラル体であること」が競争相手の業者に対するアドバンテージとなるような認識が広まるだろうと考えている。たとえばアップ屋では3,4-CTMPらしき物質を販売していた。しかし、この物質名はキラル体の名称であり、ラセミ体は3,4-ジクロロメチルフェニデートと呼ばれるものである。ユーザーはあまり認識することなくキラル体を購入していた。もし業者がキラル体であることを売りにすれば、売り上げは上がるであろう。しかし、必ずしもラセミ体の方が悪いとは限らないとしたら?

ベンゼン環のフッ素原子の結合位置と薬理作用

合法ドラッグの展望でジフルオロアンフェタミンについて書いたが、正直なところ、「フッ素原子が2位、3位、4位のどこに結び付くと、エフェクトはどう変わるのか?」という点について、私は全くよく分かっていない。塩素原子の場合は、4位に結び付いたらセロトニン神経毒性が高いが、3位に結び付いた場合、ブプロピオンが医薬品として普及しているように、おそらく神経毒性は問題にならないレベルなのだろう、ということはわかる。しかし、フッ素原子の場合はあまりそういった情報がない。今後、海外掲示板などを読んでいくなどして情報収集したい。

合法シンナーの可能性

下記では酒について法規制外物質の可能性を述べたが、シンナーについても合法ドラッグの出現可能性はないだろうか? 実は昔はヨーロッパの青年の間にジエチルエーテルを吸入する遊びがはやったことがあった。これは吸入麻酔薬としても用いられるくらいで、トルエンと比べ毒性は低い。しかし、引火性が高く、また死亡までの安全域も狭いという問題がある。それに、長期間保存しておくと空気中の酸素を吸収して過酸化物という爆薬が生じてしまい、自爆性をもつようになってしまう。安全域が広くて他の問題もない代用物質が出現すると、トルエンはその後遺症のひどさから、見向きもされなくなるだろう。

全年齢対象の酒は開発可能か?

覚醒剤やカンナビノイドの世界では、違法物質を避けるために指定外の構造を持つ物質が合法ドラッグとして流通しているが、酒の場合、薬理成分はエタノールのみで、それ以外の酩酊作用のあるアルコールが開発されたという話は聞かない。しかし、安全で酩酊作用があるエタノール類縁体が開発されれば、年齢制限のない酒が登場することになる。もっとも、アルコールは酔うのに覚醒剤などと比べてかなりの量が必要だから(覚醒剤は10mg単位だがエタノールはグラム単位)、効き目を強化しなければコストが高く付き、酒税を上回るコスト増になってしまう。またこういった物質が開発されても、それを含む飲料はなかなかスーパーなどで店頭販売はされないだろうから、嗜好性ドラッグ販売業者から液状のそれを購入して、ジュースなどに混ぜて飲むといった形になるだろう。

フッ素などを組み込んだ代謝が遅い分子構造をとるならば、酔いが長続きする酒になるだろう。

その後判明したこと (NEW!

ウィキペディアを読んでいた時に知ったのだが、2-メチル-2-ブタノールというアルコールは、エタノールより20倍強い作用があるそうだ。「以前は医療現場で用いられていた」とのことなので、有害性も低いだろう。睡眠薬の抱水クロラールとも似た作用であるようだ。ただし、味や臭いが良いかどうかは分からない。エタノールのように、飲料に添加して美味しく飲めるかどうかは未知数だ。機会があったら入手して試してみようと思う。

麻原彰晃の狂気は薬物が原因なのか?

オウム真理教ではメタンフェタミンやLSDを製造していた。信者にそれを飲ませて修行を促進していたが、麻原自身はどの程度摂取していたのだろうか? 特に1994年ごろからは急速に教団内は狂気を増していったといわれている。もし薬物による脳の障害が原因でこういう事態になったのであれば、それを解き明かすことは、破壊的カルトの動向の分析の上で有益だろう。

メタンフェタミンは、統合失調症の素因を持つ人でない限り、内服を長期的に続けることで覚醒剤精神病にまでなることはあまりない。しかし、加熱吸引(炙り)、静脈注射の場合は依存症になりやすく、どんどん使用量が増加するため、急速に覚醒剤精神病に進んでもおかしくない。麻原の摂取方法には興味がある。

またLSDも、宗教妄想などの後遺症を生じる場合があるようだ。LSD自体はアメリカのヒッピーブームなどで肯定的に扱われ、さほどそれによる病的な症状を起こす人は多くない。麻原がLSDによる精神面の損傷を生じやすい少数派だったのかは分からないが、ごく微量で効く薬物の割りに何しろ大量に合成していたから、通常より多い量を摂取していた可能性もあるが。

ヒトラーのパーキンソン病は覚醒剤の神経毒性が原因だったのか?

アドルフ・ヒトラーがアンフェタミン(PEA-a1)やメタンフェタミン(PEA-a1N1)を摂取し、その影響下で政策や戦略を決定していたことはよく知られている。また、晩年はパーキンソン病にかかっていたことも疑いがない。たとえばこのアドルフ・ヒトラー カルテが語る独裁者の素性というディスカバリーチャンネルの動画(part1はコメントでの評価も低く、あまり今回の内容と関係ない)では、ヒトラーの人生末期の病的さを、覚醒剤とパーキンソン病の両方の側面から解説している。しかしこの番組は、パーキンソン病は覚醒剤の摂取とは独立した無関係のものとの前提で作られている。では、ヒトラーのパーキンソン病は、元々の体質によるものなのだろうか、それとも覚醒剤の神経毒性によるものなのだろうか?

メタンフェタミンを大量に摂取した場合、ドーパミン神経を損傷する。またパーキンソン病は脳内のドーパミン不足によって起きる。このことを考えれば、因果関係はありそうである。しかし薬物乱用・中毒百科の304ページでは、サルではメタンフェタミンはパーキンソン病の原因になると書いてあるが、38ページでは、メタンフェタミン常用者では脳の線状体の尾状核の損傷が強く、パーキンソン病患者では被殻の損傷が強いという違いがあるため、覚醒剤常用者は認知機能障害が強く、パーキンソン病患者は運動障害が強いのではないかと書かれている。要するに覚醒剤常用者はあまりパーキンソン病のような症状を示さないとされている。日本語でウェブを検索したところ、嗜好性薬物製造時の不純物であるMPTPという物質によってパーキンソン症候群が発生したという話は多くヒットするものの、覚醒剤によるパーキンソン病の発生可能性については、ここくらいしか見当たらなかった。やはり、覚醒剤精神病の症例が枚挙に暇のないのと比べると、神経毒性によるパーキンソン病(症候群)は起きにくいものと思われる。

前記動画によれば、ヒトラーの演説は1932年まで両手で身振り手振りをしているが、それ以降は左手をあまり動かさなくなったという。つまり政権を獲得した時期あたりからパーキンソン病の前兆が出始めているのである。しかし、錠剤のアンフェタミンの服用を始めたのは1930年代末期(ポーランド侵攻のあたり?)だとも述べられている。またメタンフェタミンの注射が行われるようになったのは1941年後半から1942年前半(モスクワ攻略失敗の時期)ごろだとされている。アンフェタミンが医薬品として登場したのは1932年で、喘息薬としてであったから、ヒトラーが初期症状を現した頃に重なる。しかし発売直後の薬をいきなり大量に飲んで神経毒性にまで至るとは考えにくい。やはり覚醒剤とは無関係に、純粋なパーキンソン病が生じていたという可能性が高いだろう。ちなみにヒトラーに覚醒剤や、その他さまざまな怪しげな薬を投与していた医師のテオドール・モレルの、ヒトラーに対する初診は1936年である。勿論、生来のパーキンソン病に覚醒剤の中毒が加わって、より症状を重くしたとも考えられる。

ちなみに、覚醒剤はパーキンソン病の対症療法としては有効であり、現代でもセレギリンという、構造がメタンフェタミンにやや似ている薬品が治療薬として使われている。このため、ヒトラーが戦争後期に覚醒剤をたびたび使用したのは、パーキンソン病の症状を抑えるためであったという見方もできる(大量に摂取していたようだから、その行為がますますドーパミン神経を傷つけ、パーキンソン病を加速させた可能性も高いが)。いずれにせよ、覚醒剤による昂揚とその乱用による精神異常、またパーキンソン病による活動力低下が、世界全体の運命を大きく変えたことは疑いなく、因果関係について追求していく価値は高いだろう。

アッパー系物質摂取時の体臭について

アッパー系薬物を摂取すると独特の体臭を発するようになる。この臭気物質は一体何なのだろう? よくメタンフェタミン(PEA-a1N1)を摂取すると「シャブ臭」と呼ばれる臭いがするといわれ、薬物対策の警察官はその臭いがする人物を見つけると、呼び止めるといわれる。また、カチノン系、メチレンジオキシ系のドラッグでも体臭が発生する。

私の場合、a-PVP(PEA-bka3NN4)の摂取時もペンテドロン(PEA-bka3N1)の摂取時もほぼ同じ臭いがしたので、α位アルキル基がプロピル基(炭素数3)のカチノン系であれば同じ物質が臭いの原因物質であると思われる。この臭いは形容に困る臭いだが、あまりよい臭いではない。シャブ臭は甘い臭いとか甘酸っぱい臭いとかいわれるが、私は実物の臭いをかいだことはない。しかしカチノン系物質で発生する体臭は、特に甘いという感じではない。ある程度の量を摂取しつつある程度の時間が経過すると、唾液の分泌量が多くなり、なぜかそれを嚥下する気が起こらなくなり、数分に一回、口中に溜まった唾液をカップ麺の容器などに吐き出す羽目に陥る。この唾液がまさにこの特有の臭いなのである。またおならも同じ臭いとなる。

なおα-PBP(PEA-bka2NN4)の場合は上記の臭いよりも感じのよい、悪臭というほどもない臭いである。α位の炭素数によって臭いが大きく異なるようだ。

また、メチレンジオキシ基を持つペンチロン(3,4MD-PEA-bka3N1)の場合はまったく異なった体臭となり、形容に困るが、ペンテドロンなどの場合は「ウェット」という感じなら、ペンチロンは乾いた砂漠をイメージさせるような、カラッとしてさほど不快感を感じさせない臭いである。

これらの原因臭気物質は一体何なのだろうか。もし、これらの臭いがメタンフェタミン摂取時の体臭と似ているとすれば、外出時に警察官と衝突する可能性があり、注意を要するということになる。

アドレナリンの精神作用

薬物乱用中毒百科の68ページを見ると、アドレナリン(商品名ボスミン)を注射して幻聴などの精神症状を呈した人の話があったので驚いた。アドレナリンは水酸基が三つも付いており、エフェドリン以上に血液脳関門を通過しにくいはずである。エフェドリンやプソイドエフェドリンはメタンフェタミンに水酸基が一つ付いただけの構造だが、脳関門通過性が低いため、乱用の懸念は大分低くなっており、それが含まれる薬は一般の薬局で販売されている。まして水酸基が三つも付いているアドレナリン、ノルアドレナリンや、水酸基が二つ付いているドーパミンなどのカテコールアミンはさらに脂溶性が低く、脳関門をまったく通過しないだろうと私は考えていた。

症例の人物はエフェドリンの注射を行なっていたそうであるが、このことが逆耐性による感受性の亢進状態を引き起こし、一般人よりも交感神経作動性アミンに対する感受性が高くなっていたということはあると思う。しかし、それにしてもカテコールアミンで精神症状が起きるというのは予想外だった。特殊な例だと思うが、書き留めておく。

セロトニンに作用しない覚醒剤は究極の魔薬?

アッパー系薬物の中で、最も依存性が高いものといえば、コカインかメタンフェタミンを挙げる人がほとんどだろう。だが、さらに依存性が高い薬物は存在し得ないのだろうか?

下記に、メタンフェタミンにもセロトニン作用があると書いた。そして、セロトニンは、食欲低下作用だけでなく、依存性を抑える働きもしている。なので、MDMAはドーパミン刺激作用もかなり強いのに、MDMA依存というのはあまり聞かない。メタンフェタミンは相対的にドーパミン/セロトニン比がドーパミン寄りなので、依存性が高いのである。では、さらにセロトニン神経への親和性が低いドラッグがあったらどうなるだろうか?

メタンフェタミン並みのドーパミン増加力およびそれ自体が擬似ドーパミンとして働く作用を持ち、セロトニンにはまったく作用しない化学物質が開発されれば、その物質は瞬く間に闇の世界を席巻するはずだ。食欲抑制作用がないので、メタンフェタミンの好まれない副作用である、栄養失調などの問題もおきにくい。ただ交感神経刺激作用はあるので、胃腸の動きが止まるため、食欲はあっても胃腸が止まっているということは起きうるが。最近、さまざまな新型合法ドラッグが出回っているが、規制とのいたちごっこで、あるとき、このような「ドーパミンには強烈に作用するが、セロトニンにはわずかしか作用しない」という薬物が出現してもおかしくない。

あるいは、セロトニンを減らす薬物が存在するとすれば、その薬物と覚醒剤を混合することで、同様の効果が得られるだろう。いずれにせよ、こういった化学物質を開発したり、適切な処方の混合物を作ったりした人物や団体は、一気にストリートドラッグ(路傍で販売される薬)界の勢力地図を塗り替え、天下を取れるだろう。

その後判明したこと

MDPVやα-PVPなどが、まさに上記で述べた「ドーパミン作用が強いが、セロトニン作用がほとんどない覚醒剤」に当たることが判明した。実際、これらの物質はかなり依存性が強いようだ。

一方、セロトニンの持つ食欲抑制作用については、こうしたセロトニン作用の少ない物質であっても、完全に防ぐことはできないことも分かった。なぜなら、ドーパミンやノルアドレナリンにも、セロトニンを放出したり再取り込みを阻害したりする能力があるため、ドーパミンを賦活するドラッグは、間接的に多少セロトニンも賦活してしまうからである。

統合失調症と覚醒剤精神病の幻視の発生率

ウィキペディアの統合失調症の記事を見ていたら、「統合失調症では幻聴が多くみられる一方、幻視は極めて希である。」と太字で書かれていた。私は覚醒剤精神病と本来の統合失調症の病状はほぼ同じだと思っていたので、意外だった。

薬物乱用・中毒百科の42ページでは、「覚醒剤精神病は統合失調症と症状がきわめて似ていて、「覚醒剤常用の履歴を知らないと専門の精神科医でも統合失調症と誤診することがあり両者を区別できない」と言う専門家もいるくらいである」と書いてある。しかし、同書には「布団の周りを毒蛇が取り巻いている」という幻視や、「自分のトラックに見知らぬ人が乗っている」という幻視の例が載っている。また堕落日記では、薬物名の記載がないが、a-PVP(PEA-bka3NN4)か何かだろうと思われる合法ドラッグの摂取により、幻視が現れたとの体験談が載っている。面識のないネットの知人が訪ねてきたり、8人以上のハッカーが自室に来たりという幻視があったそうだ。

このように、交感神経作動性アミンを摂取して精神病のような症状が発生する場合、幻視はそれほど珍しいことではないようだ。もしウィキペディアのこの記述が間違いではない場合、本来の統合失調症と、覚醒剤精神病には、何らかの大きな違いがある可能性が考えられる。

少し考えてみたが、思い当たるのが覚醒剤のセロトニン神経への刺激効果だ。セロトニン神経には色々あるが、その中で5-HT2A受容体は、刺激を受けると幻覚が発生するとされている。MDA(3,4MD-PEA-a1)に幻覚性があり、MDMA(3,4MD-PEA-a1N1)に幻覚性がほとんどないのは、5-HT2A受容体への親和性の差だと思う。メタンフェタミン(PEA-a1N1)もMDMAほどではないがセロトニンを活性化する作用があり(だからこそ食欲が減退する)、5-HT2A受容体に対してもある程度の親和性を持っているのではないだろうか? もし、覚醒剤のセロトニン作用が幻視の原因だとすれば、この問題の説明が付くことになる。そして、ある患者が幻視を訴えれば、薬物乱用の可能性を疑うといった判断も可能となる。

ただし、これはあくまで薬物が体内に残留している状態での話であり、数日間が経過して排出が終われば、セロトニン作用も消えるはずで、たとえ逆耐性の亢進により覚醒剤精神病が残ったとしても、幻視は生じないということになると考えるが、どうだろうか。いずれにせよ、覚醒剤摂取直後の急性期には、統合失調症では本来まれな幻視が出現するという事実は、興味深いテーマである。

追記

その後、α-PVPなどはセロトニン賦活作用がほとんどないことを知った。しかし前述の堕落日記などの体験談を読むと、普通に幻視が現れているようだ。おそらく、上記のセロトニンに関する仮説は当たっていなかったと思う。

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